平成版「復讐するは我にあり」を見る

復讐するは我にあり
/ 松竹
ISBN : B000BKJFC8
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木曜日にテレビ東京で放送した「復讐するは我にあり」は、今年みたテレビドラマの中でベストと言い切っていい、素晴らしい作品だった。役者、演出どれも素晴らしかったが、何よりも一番素晴らしかったのはその脚本だ。過去に映像化された作品を踏まえた上での物語構成の巧みさに惚れ惚れさせてもらう。勿論そうした素晴らしき本を元にした役者陣の演技の冴え、特に主演の柳葉敏郎と大地康雄の2人の演技は比類なき見事さであったのは言うまでも無い。特に物語の終盤、夜の一室にて二人が対峙する長回しは、近年のテレビドラマ史に残る痺れるようなシーンであった。

その長回しでも台詞回しの見事さが際立っていたが、ベテラン脚本家西岡琢也、こうした対決シーンに見せる切れの鋭さ、さすがの本領発揮である。西岡琢也といえば、最近はテレビドラマ、しかも2時間ドラマにその活躍の場を求めているが、かつては人魚伝説、刺青ありなどと言ったATG作品などインディーズ系の映画のフィールドで異彩を放っていたが、最近はオーソドックスな物語でも上手く纏め上げているが、今回の本に関しては、昔の作品でよく見せていた鋭利な熱情を忍ばせていた。西岡にとっても会心の作品であったのではないかと推測する。

今回、西岡は今村の映画では深く描かれる事のなかった、逮捕される前の数日にスポットを当て、映画や過去のドラマ化の際とは全く違う視点でこの物語を再構築して見せた。しかし西岡にとって今回の作品の脚色化が難しかっただろうと思うのは何と言っても過去に何度かドラマ化や映画化されたその作品が余りに素晴らしかったからであり、中でも今村昌平監督、緒方拳主演のヴァージョンの凄さがあったからだ。今村監督ヴァージョンの「復讐するは我にあり」は、日本映画史に残る世紀の問題作であり、今もその作品の出来に関しては語り草になっている今村監督の代表作だ。

私は何を血迷ったのか、ガキの頃にこの映画をテレビで見てしまったのだがその時の衝撃は今も忘れる事が出来ないものだ。有名なタンスの中に絞殺した老弁護士を押し込み、その前で茶漬けを掻き込む緒方拳の姿は、子供にはあまりに刺激的であった。そんな過去の名作に真っ向勝負で挑み、異なる視点から迫ったテレ東、やるな、という感じである。昨年日テレの世界仰天ニュース内で放送されたドラマ「光クラブ事件」もそうであったが、テレビドラマの実録モノは時折こうした突き抜けた作品を生み出すことがあるので侮れない。とにかく良い物見させてもらったと感謝である。
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  by mf0812 | 2007-03-31 03:54 | 映画・ドラマ

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