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指揮官いろいろ

団体スポーツの世界で時たま使われる言葉に「パニックムーブ」というものがある。これは怪我人が続出したりして当初の想定していなかった様な緊急事態が起きた時に、当事者が混乱してしまい理屈に合わない方策を慌ててしてしまう事を指す。プロレスファンに分かりやすく簡単な例を出すなら新日本プロレスの現場を思い出していただければいいのだが、まぁそれはさておき、こういう緊急時に露呈し問われるのが団体スポーツにおけるトップ、つまりは指揮官のスタイルである。

野球の指揮官には広岡や野村の様なロジックで選手をコントロールしていくタイプもいれば、仰木監督の様な限られた戦力をシャッフルさせながら選手の持ちベーションを上手くコントロールしていく緊急時応対に長けたスタイルの監督もいる。また阪神監督時代の星野や第2次政権下時代の長嶋の様な己のカリスマ性を最大限に生かしてチームを結束させていくスタイルもあるだろう。

正に指揮官のスタイルは千差万別だがこの度パリーグを制した北海道日本ハムファイターズの監督ヒルマンの辿って来た変遷は非常に興味深い。彼は当初アメリカで行われてきた、もしくは自分で行ってきた指導方法や指揮のスタイルを通してきたが、徐々に日本人選手に合わせていく形に軌道修正していった。これが上手くいったのは勿論ヒルマン自身がそうした自己修整能力が長けていたという事が大きいがそれと同時に日ハムがメジャーリーグ同様キチットしたGM制度を導入していてヒルマンにサジェスチョンできる体制を整えていた点も大きかった。今年広島の監督に就任したブラウンもヒルマン同様、自分のやり方を徐々に日本式に調整しアジャストしつつあるが、ヒルマンにはいてくれた高田GM的な存在が今の広島にいないという点が気になる。東出を再生したり、梵を育成したりと、今期も確かな手腕の片鱗を見せているだけに、その辺のフォローが気掛かりだ。

今年の巨人を見ていると前回就任時と比較すると原監督は、チームが緊急事態に陥った時にやや「パニックムーブ」を起こし易いタイプの監督である事が実証された感じである。実はヤンキースのトーリ監督もそういう傾向が見受けられるが、彼らは実績のある選手の揃ったチームを任せると抜群の能力を発揮する所謂チームメンテナンスに長けたスタイルを身上としているが緊急事態への対応力が問われる時、彼らの脆さがそのままチームに反映してしまう。立場は違えど巨人とヤンキースの今年の敗因は、そうした指揮官の弱さ脆さが出てしまった部分も大きいような、そんな気がしている。

  by mf0812 | 2006-10-14 05:25 | スポーツ

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