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NFL WEEK 11 展望

Week11 MatchUp

QBカート・ワーナーの不調(私には他の理由の方が大きい気がしているが)により、局面打開を狙ったニューヨーク・ジャイアンツは、今週大型新人QBイーライ・マニングがスターターとして名を連ねるとの事である。今週はこの試合一点に注目だ。

新人QBに関しては面白い傾向があって、ここ数年鳴り物入りで入ってきた大型QBは初年度結果を残せず、期待の薄かった新人QBのほうが結果を残しているという所である。ここ最近スカパーでカレッジフットボールルの試合を見る機会が増えたが、カレッジでスタッツを残しているQBが上にあがって今ひとつなのが何となく分った気がする。成績のいいQBのチームは段違いにラインメンが強烈な事と、カレッジの場合、経験値が必要なタイトエンド含めてパスディレクションが極めて甘い点もある。それ故に上で通用するにはパスヤードやタッチダウン数よりも重要視されるべきポイントがありそうだ。

イーライは天才型QBとの評価で、所謂スタッツのみを評価されている数字評価QBとは違うようであるが、兄ペイトン・マニングの様な様々な戦術にアジャストさせる適応能力に秀でた秀才型タイプではない。世評を総合するとつまり簡単に言えば「一か八か」タイプであるのは、間違いないようである。

ジャイアンツとしても5勝4敗というプレイオフ進出に関して極めて重要な段階でこのQBを起用しようと言うのもある意味開幕戦で使うよりもギャンブル性が高そうである。ここで快勝すれば一気に勢いに乗りそうな感じだが、逆に惨敗を喫するような事があれば、チームとしてはメルトダウンをしかねない。正にジャイアンツとしても、マニングとしても、正念場となりそうである。

  # by mf0812 | 2004-11-23 04:51 | スポーツ

マイルCS 見解

私は昨年のマイルCSではフサイチコンコルドを中心馬として考えた。結果は4番人気で4着に敗退。つまり簡単に言えば私の買った馬券は全部紙屑となった訳である。私がフサイチを中心視した理由は実に単純で、過去のデータから類推してこのレースに相性いいニジンスキー血脈を持つ唯一の馬だからという話である。まぁ本来ならリファール系を重視したかったのだが昨年は該当馬がいなく次善の策としての選択であった事は付け加えておきたい。

さてニジンスキー系の大きな特徴と言えばこの手のタイプは言うまでもなく平坦芝の高速決着に無類の強さを見せるトコロだろう。正にマイルCSは絶好の舞台となる。因みに過去のマイルCSで見ても、ゼンノエルシド、エイシンプレストンなどニジンスキー系産駒が良い結果を残している。また母父までその範囲を広げれば、タイキシャトルもそうだし、人気薄で3着に突っ込んできたリキアイタイカンも該当する。また拘るなら母父ナスルーラー系の大駆けに目配せをしたい。何せ過去のレースではビックサンデーやタイキトレジャー等人気薄での好走が目立っている点は見逃せない。

さて今年に話を戻すが、今回の登録メンバーでニジンスキーとリファール血脈を持つ馬と言えば、昨年同様フサイチコンコルドにダンスインザムードにサクラプレジデント、キスミーテンダーになるか。因みに今回母父ナスルーラー系産駒は見当たらないようだが、父系ナスルーラーのマイネルモルゲンは抑えても損はないか…

しかしだ、まぁ幾ら理屈を重ねても昨年来、芝短距離G1路線において私は馬券的にデュランダル1頭に全部してやられているわけで、説得力は薄いのは自覚している。現実問題として同じ理屈で予想した昨年は3着以内に自分が買っていた馬が1頭もいないと言う醜態を晒したわけで、出走メンバーもそんなに大きく変わらないところを見ると、去年と同じ買い方では結果も多分同じだろう。そこで今年は少しだけ趣を変え、少々捻った予想をしてみる事にした。明日以降、その少しだけ捻った部分をチョコチョコ触れていきたいと思う。(ただ先週も余計な捻りを加えたお陰で痛い目にあった気がしないでもないのだが)とにかく短距離G1戦では悲惨な馬券状況になっているので、今回に関しては意固地にならず、いろんな人の意見を読みつつ、聞きつつ、自分の考えを練ってみたいと思っている。
さてここ10年のマイルチャンピオンシップで2回以上出てきた馬は何頭いるか調べてみた。全部で18頭、結構いるが流石に3回以上となると6頭まで絞り込まれる。その中で複数回連対した馬は2頭しかいない。言うまでもなくその馬はタイキシャトルにエイシンプレストンとなる。

ケタ違いに強かった馬と国内G1を勝ち損ねた馬。同じ2連対でもその内容は少々違うが、この辺のデータにに昨今のマイル路線の現況を窺い知る事も出来よう。当日記ではしつこいほど触れてきたが最近の芝短距離路線は非常に駒不足の感が否めない。近5年までデータを絞り込むと1番人気馬が1勝2着1回しかしていないというのも、その混戦振りを如実に表していると思われる。特にここ5年で見れば世代別に言うと現7歳世代が2勝2着3回と飛びぬけて成績が良い。先に上げたエイシンプレストンもそうだしゼンノエルシド、アクネスデジタルにダイタクリーヴァ、つまりこの辺の世代が思い切り頑張っていて他の世代が今一つと言うのも混沌とした状況を表しているかのようだ。因みに現8歳世代は連対1頭のみ、6歳世代に至っては連対ゼロとなっている。世代で競走馬の優劣を決めるのは得策でないのは承知しているがここまで露骨に数字となって表れてくると、正直今回もこの世代の馬を積極的に買いたいという感じは無くなる。その辺が昨年現5歳世代(当時4歳)のワンツーで3着に3歳馬が食い込んだと言う状態となって表れた感じがしている。

今年の場合もこのパターンが大きく変化しているとは思えない。故に過去にこのレースに出ていた馬を買うよりも(結果を残していた馬は別として)初参戦の3歳4歳馬か思い切って最近では有力馬が多かった7歳世代から選んでみると言うのも面白いかもしれない。今回の登録メンバーで言うならダンスインザムード、マイネルソロモン、マイネルモルゲン、メイショウボーラーにロードフラッグ等、勿論外国馬にも目配せを。今の所この辺の馬に注目をしているが、言うまでもなく最大のポイントは、ミスターマイラーであるデュランダルをどう扱うのか、それに尽きるか。いい加減諦めて素直になるべきなのか、意固地になってみるべきなのか、まだ決めかねている。

今日の東スポで今回のマイルチャンピオンシップにメイショウボーラーを出走させている白井調教師が少し長めのコメントを寄せている。そのコメントの内容は言うまでもなく以前の管理馬でマイルCSで優勝したアグネスデジタルとメイショウとの比較である。

メイショウボーラーはアグネスデジタル同様、3歳馬として参戦してくる訳であるが、白井調教師は少々の恨み節を込めて「アグネスが勝った年は2着も3歳馬(ダイタクリーヴァ)だったんだが、このせいかどうかは分らないが、翌年から斤量が変わりアドバンテージが2キロから1キロになってしまった。これは大きいよ」という様な主旨の事を述べている。実際問題、この2000年の3歳馬のワン・ツーフィニッシュ以降、3歳馬の連対はゼロである。但し昨年、どう考えても力不足と思われたギャラントアローが3着に残っている事もある。白井調教師の嘆き節も分らないでもないが、1キロとは言え、アドバンテージがあるのは間違いない。牝馬ならば3キロのアドバンテージとなり、これは言うまでもなく大きな利点となるはずだ。

しかし勿論「充実の4歳馬の秋」という言葉もあるように、基本的にこのレースは4歳馬の成績がイイのは間違いない。が今年の場合、この4歳馬が非常に駒不足感が満載であるのも注意したい点なのである。故にデュランダルやファインモーションと言うような既存勢力である5歳馬勢に人気が集まっているのだろう。ただ通年の成績で見ればそんなに世代間格差があるわけでもない。実際問題、今年行われた9つあったマイルの重賞レースで一番成績の良い世代は4歳馬世代であり、これは去年の同時期の調査と全く変化が無い。まぁ長々と書いてきてツマラヌ結論に到達するが、結局何が言いたいのかと言うと

1.差は減ったとは言え斤量で恵まれる3歳馬にはアドバンテージがあるのは事実。

2.言われるほどの世代間による格差は大きくない

という話で、昨日展望として上げた話は、この辺を考えていけば余り意味を成さなくなる感じである。つまりここ最近の傾向と同様に4歳馬から軸を取り、過去にこのレースを使っていない未知的要素のある馬を重視して考えていく、この辺のスタンスは動かしたくないなと思っている。混戦であるが故に今回のレースは、いつものG1以上に何を軸馬にするかという『入り口』の話でなくではなく、どんな馬券をどのように買うべきかという『出口』の部分に相当な目配せが必要な気がしている。


と、言うようにいろいろとデータを整理をしたり、もう一度ガラガラポンと最初から考え直したり。自分で書いた過去の展望も読み直したり、いろいろな競馬予想サイトを眺めたり。昨日来ずっとマイルCSの事を考えているが、一向に考えがまとまらない。私の場合こうなるとお手上げで、過去のパターンから判断するに、こういう時は、結局何を買ってもハズレそうなので、思い切って今まで考えていなかった馬から馬券を入る事にしてみた。

結局昨今のマイル戦線は軸馬不在の混迷が続いている…という私の見解はデュランダルの存在により呆気なく打ち砕かれたが、こうなればどうせ外れるなら、ここは意地でもう一度自説を推し進める事とする!と、腹を括ってみた。つまり今までマイルG1路線にいなかった馬から選択するという最初に思いついたアイデアをそのまま取り入れて望む事に。

当初は僅か1キロだか一応ある斤量のアドバンテージ、もちろん血統も悪くない、そして脚質的な面も考慮してメイショウボーラーなんかどうかなとも思っていたが、白井調教師の大弱気のコメントを読むと心もとなく。流石に軸馬には厳しいかなと、馬券買うこちらも弱気に…。

そこで、だったら巷間言われているように、外国からの自費による参戦馬である「字面上」だが、G15勝という金看板に誘われてみても(しかも勝ってきたレースの『格』だけみると過去日本に来たどの馬よりも凄いレースというのも強調してもいいかなとも思われる)いいんではないかなという邪な気持ちが頭をもたげてきたのである。結論。ここは外国馬のラクティから入る事とした。血統的にもこのレースと相性が良いダンチヒ系だし、悪くは無いかなと思う訳だ。勿論どこにも来ない大惨敗という可能性もありそうだし、少し人気になりすぎの感も否めないし、気性的な問題もありそうとも漏れ聞くが、私の考えるマイル路線の前提の筋を通す意味として、この馬でバチンと弾け飛んでもいいかなと思えたので、確かに何とも説得力の無い理由だが、これで望む事としてみた、勿論三連複軸としての話であるが。

相手にはメイショウボーラー、そして上位人気馬へ。穴目では、このレースで頭は無いが2,3着に来て穴を開ける傾向強いロベルトの血を持つプリサイスマシーン、最近のこのレースでは相性良いニジンスキー系産駒であるバランスオブゲーム、父母父共にこのレースと相性抜群のマイネルモルゲン、この辺まで抑えてみたいなと、今の所は思っている。

  # by mf0812 | 2004-11-21 06:01 | 競馬

ジェネシス 『The Platinum Collection』

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全部で計40曲。一人頭10曲という訳でもなかろうがまぁ良くも選んだりというジェネシス究極のベスト盤がこのたび発売される。歴代メンバーたちがバンドの歴史を振り返り紹介すると言う形を取った、今までの軌跡をサウンドで振り返ったCDボックス・セットがこの29日にイギリスで発売される新作『The Platinum Collection』である。

ありがちなタイトルから類推するにレコード会社主導で発売された感じはするものの、トニー・バンクス、マイク・ラザフォード、フィル・コリンズにピーター・ガブリエルといった歴代メンバーたちが選曲および監修を担当している点がポイントだろうか。全曲がほぼニュー・リミックス・ヴァージョンとなっていて同日にはビデオ・クリップを集めたDVDの『THE VIDEO SHOW』もリリースされる予定との事。

まぁジェネシスの歴史は古い。1967年に英国サーレーで活動していたアノンとガーデン・ウォールという2組のバンドが合体して結成したのがスタートとなっている。1968年にレにデビュー。クリムゾンが火をつけたプログレブームの流れの中核をなし、70年代のイギリスを代表するバンドとなった。しかし結成当初からメンバー交代が激しく、それに伴いサウンドも変化し続けてる。80年代になりバンドの中心人物ピーター・ガブリエルが脱退してからはドラマーとして中途から参加していたフィル・コリンズを全面に押し出し、サウンドをプログレッシブなものからポップス路線へとシフトさせた。皮肉にもセールス的にはこの80年代が最も盛況で80年代中期に出した「インビジブル・タッチ」は全世界で1000万枚以上のセールスを記録している。

そもそもプログレとは、3分音楽とされた当時のポップスを独自の解釈でアドリブを混ぜながらそこに様々なジャンルのサウンドを絡み合わせて10分以上に引き伸ばしていったという様なトコロもある。つまりポップスを研究し尽くしたある意味ポップス精神旺盛な人達が生み出したサウンドともいえるわけで、キングクリムゾンの初期の主要メンバーだったジョン・ウェットンが後に究極のポップスロックと揶揄されたエイジアを作り上げたのも、このジェネシス後期の中心メンバーであるフィル・コリンズがソロワークで珠玉のポップスソングを次々に生み出したのも、ある意味で必然だったといえなくも無い。

こうしてボックスセットを聞きジェネシスの流れを見る事で、イギリスというよりも世界の音楽シーンの変遷を窺い知る事も出来る事となっている。とにかく充実のボックスセットである。私のフェイバリットソングはディスク1の1曲目を飾る「No Son Of Mine」だ。あえて80年代以降のポップスシフト以降から選んでみたが、家庭内暴力を描いた詩の内容と共にスリリングなサウンドの構成と巧みな演奏。是非生で聞きたかったと思わせるスケールの大きな曲で、3人体制となったジェネシスのベストソングと言っても差し障りないかと思われる。

●CD『The Platinum Collection』
【ディスク1】
(01) No Son Of Mine
(02) I Can't Dance
(03) Jesus He Knows Me
(04) Hold On My Heart
(05) Invisible Touch
(06) Throwing It All Away
(07) Tonight, Tonight, Tonight - Edited Version
(08) Land Of Confusion
(09) In Too Deep
(10) Mama
(11) That's All
(12) Home By The Sea
(13) Second Home By The Sea
(14) Illegal Alien - 2004 Remix
(15) Paperlate - 2004 Remix
(16) Calling All Stations

【ディスク2】
(01) Abacab - 2004 Remix
(02) Keep It Dark - 2004 Remix
(03) Turn It On Again - 2004 Remix
(04) Behind The Lines
(05) Duchess - 2004 Remix
(06) Misunderstanding - 2004 Remix
(07) Many Too Many - 2004 Remix
(08) Follow You Follow Me - 2004 Remix
(09) Undertow - 2004 Remix
(10) In That Quiet Earth - 2004 Remix
(11) Afterglow - 2004 Remix
(12) Your Own Special Way
(13) A Trick Of The Tail - 2004 Remix
(14) Ripples - 2004 Remix
(15) Los Endos - 2004 Remix

【ディスク3】
(01) The Lamb Lies Down On Broadway - 2004 Remix
(02) Counting Out Time - 2004 Remix
(03) Carpet Crawlers
(04) Firth Of Fifth - 2004 Remix
(05) The Cinema Show - 2004 Remix
(06) I Know What I Like (In Your Wardrobe) - 2004 Remix
(07) Supper's Ready
(08) The Musical Box - 2004 Remix
(09) The Knife - 2004 Remix

  # by mf0812 | 2004-11-19 05:58 | 音楽

プロレスの行方 第2回 混沌の不条理劇

坂口体制の割を食い己が引く事になった「神・アントニオ猪木」が起死回生の逆転技を発動した1,4橋本小川事件以降、新日の迷走が始まった。相次ぐ中心選手とフロントの離脱でエース選手が不在となった新日本は藤田和之という稀有な成功例に一縷の願いを託し「総格ワープ」を使い格闘技のリングで選手の格上げを図り失敗を続けてきた。

しかし去年のG1でノアの秋山を招聘し自団体のリングでプロレスの試合を通して天山の格上げに成功した。これは新日に取り久し振りの大ヒット企画だった。これでやっとエース格の選手が出来たなと思っていた矢先に悲劇が待ち受ける。9月に名古屋の大手プロモーター共同企画の記念興行を猪木がドタキャンしたからドエライ騒ぎに。新日としては一番信頼を得なければならない地方のプロモーターの顔に泥を塗るような事があっては将来に禍根を残す。そこでこの事態を収拾するために大阪で高山と少々因縁が出来た坂口CEO、つまり荒鷲参戦という事態になった。この記念興行に秋山が力皇を引き連れ参戦したのも、チケット的にダメ押す意味もあり土壇場になりプロモーターの要請もあって新日からノア側にオファーがあったからである。

ところがこの騒ぎに息子の憲二までもが担ぎ出されたのでさぁ大変。テレビや女性週刊誌まで含めた一大狂騒曲となり、世間的に注目を集めてしまったが故にこのキワモノ路線を押し進めてしまった。その結果が去年の秋のドーム大会であり、残念ながら世間の騒ぎと反比例した会場は観客が埋まらず興行としては苦戦。そして結局は、天山エース路線は霧消し、年末には懲りずに再び「総格ワープ」作戦を発動し中邑柴田がその役を担った。 その集大成が5月の東京ドーム大会であったが、この大会は新日本の東京ドーム大会で史上最低の実券売り上げを記録し、この路線の難しさを露呈した。

そして、今年の秋。当初失敗が続くドーム大会を新日上層は回避を狙っていたが、猪木周辺が売上高の減少を嫌い、土壇場で突如開催決定。そこで新日の頭脳であった上井氏辞職後、合議制に変更となった新日マッチメイカーらは考えた。

7月にあった直近のドーム大会。そうノアのドーム大会の大成功を見ていた新日幹部はオポジション団体をノアにセットした筈なのである。現に世界の荒鷲・坂口氏は、試合があった直後の朝礼で社員にこのノアドーム大会を見せて、ウチもこの大会に負けないようにしなければならないとハッパをかけたのは有名な話である。そうした答えが、ノアに対抗しうる手段として、現段階のノアには絶対に出来ないヘビー級選手による未来のエース対決として将来の新日版小橋秋山的な意味合いを目指す上で、若手のホープ中邑棚橋戦を敢えてメインに据えた筈なのである。

しかも偶然に、同日ノアは後楽園で、ノアの未来を託すカードとして現在のジュニア最高峰選手である丸藤KENTA戦が行われる事が決定した。図らずも正にプロレスの未来はどちらが輝かしいかを競えるシチュエーションになったのだ。珍しく新日が試合内容で勝負を賭けたドーム大会のメインとなった。その心意気を私は買った。荷が重そうだと分っていても試合内容で勝負しようというその心意気や良し!と思ったのであった。

が、事態は急変する。

川田、長州参戦とカードを発表しても全くチケットが動かない大阪ドーム大会。自らの冠大会である猪木は焦った。そもそも10月の両国、11月にも両国大会を企画し、共に観客動員で結果が出なかった新日にこのタイミングでドーム大会を行えるスタミナが無かったという前提がある。しかし猪木にとってこの大会の失敗はいろいろな意味で許されなかった。そうした焦りは、こちらが思っている以上だったのかもしれない。土壇場でマッチメイク権が新日から猪木事務所に変更され、いつの間にかそのマッチメイク料が猪木事務所に送金される事態となり、大会3日前にカードは変更された。メインセミのカードが吹き飛び、小川が参戦、幾ら話題性が欲しいとは言え、30年以上この業界で大手として君臨している会社のするべき行動ではないのは言うまでもない。

しかも挙げ句に結局、実券で1万枚に満たないという興行的に大惨敗を喫した大阪ドーム大会は、視点のないごった煮感覚満載の最近見慣れたドーム大会の景色になっていた。一寸先はハプニングとは猪木の名言だが、今回の騒ぎはハプニングでない。意図的な猪木事務所による資金確保の動きの強い悶着である。新日上層部にとって手打ち興行でこの失態は痛恨の極みであろう。本来ならこの日行われた試合に対して一つ一つコメントするのも筋なのであるが、この大会の本当の意味は、当日の試合結果よりも、これからに懸かっている。

このドーム後遺症が如何様に出るのか。その答えが早くも次期シリーズには判明するであろう。開催過多になり熱の維持が難しくなっている後楽園での興行、既に熱を失い始めた両国での興行。新日は日本武道館での興行から手を引いており、実は今、都心の大会場で確実に動員を計れるのは東京ドームしかなくなりかけているのである。そんな状況で次期シリーズの開幕戦である後楽園の連戦がコケたら、それこそ一気に興行的にメルトダウンを起こしかねない緊急事態となる。

ドーム大会として珍しくメインカードに意味を持たせた筈だった新日大阪ドーム大会は一度は照準を合わせかけたオポジション団体の設定を最終的に間違えたまま、その大会を終えた。同日のノア後楽園では丸藤とKENTAが、正にノアの、プロレスの未来を魅せた素晴らしい試合を繰り広げた。一方大阪では未来を賭けて対決するはずだった中邑と棚橋が敗れるとこれ以上無い不条理を見せ付け大会はカオスのまま終った。

今一度警告したい。今回の新日の危機は、過去の騒動や騒ぎとは一線を画している。日常の興行を追いかけている人間ならばその切迫した感じはお分かりいただけると思う。兎にも角にも来週ある日曜と月曜の新日後楽園ホール大会は試合内容もさることながら観客動員にも注目をしたい。万が一8割にも満たない動員しか出来なかったならば…。1月にドーム大会ヤルどころの話ではなくなってしまう。今、新日は危険水域に突入した。

  # by mf0812 | 2004-11-18 06:02 | プロレス格闘技

ジャガーノート

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タワーリング・インフェルノやポセイドンアドベンチャー等の大型パニック映画が一大ブームになった時代がある。そのブームに少しだけ遅れてイギリスで作られた海洋パニック映画がこのジャガーノートだ。

出演者はリチャード・ハリス、オマー・シャリフ、シャーリー・ナイトにアンソニー・ホプキンスというこれ以上いない芸達者に恵まれたこの作品の監督は「スーパーマン」などを撮ったリチャード・レスター。脱出不可能な暴風雨の中豪華客船ブリタニック号に、爆弾が何者かによって仕掛けられた!時を刻むメガトン級の時限爆弾!! 千二百人の命と共に揺れる豪華客船ブリタニック号を救えるか!という威勢のいい話なのだが、作品のトーンは一切そうした宣伝文句の真裏を行くような沈みきった落ち着いた色調で彩られ、派手なシーンも無く、煽り上げる音楽も無く、荒唐無稽なスペクタクルも無く、青天井のカタルシスも無い。アンチハリウッドとも言うべき、正にイギリス映画の極みの様な作品である。

この作品をジェリー・ブラッカイマー製作、マイケル・ベイ監督等でリメイクしたらこれ以上無いというくらい下世話な映画になりそうであるが、とにかく上質なミステリを読んでいるような落ち着いた気持ちになるのである。お涙頂戴的な人情話的シークエンスも無く、必要以上に狂信的な役回りを演じる犯人役もいない。日常の中の非日常という映画の基本のパターンを踏襲しつつ、さらに日常感をわざと随所に繰り広げていく脚本構成に演出。最後の最後まで盛り上げる事を拒否し続けるストーリー展開と演出なのだが、何故か見ている側は、ドンドンとスクリーンの中に溶けていく。これぞ映画の魔力。強引なストーリー展開と無茶苦茶な映像とご都合主義のエンディングに食傷気味の方にオススメしたい変化球タイプながら正調パニック映画の隠れた逸品である。

  # by mf0812 | 2004-11-18 05:22 | 映画・ドラマ

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