全部で計40曲。一人頭10曲という訳でもなかろうがまぁ良くも選んだりというジェネシス究極のベスト盤がこのたび発売される。歴代メンバーたちがバンドの歴史を振り返り紹介すると言う形を取った、今までの軌跡をサウンドで振り返ったCDボックス・セットがこの29日にイギリスで発売される新作『The Platinum Collection』である。
ありがちなタイトルから類推するにレコード会社主導で発売された感じはするものの、トニー・バンクス、マイク・ラザフォード、フィル・コリンズにピーター・ガブリエルといった歴代メンバーたちが選曲および監修を担当している点がポイントだろうか。全曲がほぼニュー・リミックス・ヴァージョンとなっていて同日にはビデオ・クリップを集めたDVDの『THE VIDEO SHOW』もリリースされる予定との事。
まぁジェネシスの歴史は古い。1967年に英国サーレーで活動していたアノンとガーデン・ウォールという2組のバンドが合体して結成したのがスタートとなっている。1968年にレにデビュー。クリムゾンが火をつけたプログレブームの流れの中核をなし、70年代のイギリスを代表するバンドとなった。しかし結成当初からメンバー交代が激しく、それに伴いサウンドも変化し続けてる。80年代になりバンドの中心人物ピーター・ガブリエルが脱退してからはドラマーとして中途から参加していたフィル・コリンズを全面に押し出し、サウンドをプログレッシブなものからポップス路線へとシフトさせた。皮肉にもセールス的にはこの80年代が最も盛況で80年代中期に出した「インビジブル・タッチ」は全世界で1000万枚以上のセールスを記録している。
そもそもプログレとは、3分音楽とされた当時のポップスを独自の解釈でアドリブを混ぜながらそこに様々なジャンルのサウンドを絡み合わせて10分以上に引き伸ばしていったという様なトコロもある。つまりポップスを研究し尽くしたある意味ポップス精神旺盛な人達が生み出したサウンドともいえるわけで、キングクリムゾンの初期の主要メンバーだったジョン・ウェットンが後に究極のポップスロックと揶揄されたエイジアを作り上げたのも、このジェネシス後期の中心メンバーであるフィル・コリンズがソロワークで珠玉のポップスソングを次々に生み出したのも、ある意味で必然だったといえなくも無い。
こうしてボックスセットを聞きジェネシスの流れを見る事で、イギリスというよりも世界の音楽シーンの変遷を窺い知る事も出来る事となっている。とにかく充実のボックスセットである。私のフェイバリットソングはディスク1の1曲目を飾る「No Son Of Mine」だ。あえて80年代以降のポップスシフト以降から選んでみたが、家庭内暴力を描いた詩の内容と共にスリリングなサウンドの構成と巧みな演奏。是非生で聞きたかったと思わせるスケールの大きな曲で、3人体制となったジェネシスのベストソングと言っても差し障りないかと思われる。
●CD『The Platinum Collection』
【ディスク1】
(01) No Son Of Mine
(02) I Can't Dance
(03) Jesus He Knows Me
(04) Hold On My Heart
(05) Invisible Touch
(06) Throwing It All Away
(07) Tonight, Tonight, Tonight - Edited Version
(08) Land Of Confusion
(09) In Too Deep
(10) Mama
(11) That's All
(12) Home By The Sea
(13) Second Home By The Sea
(14) Illegal Alien - 2004 Remix
(15) Paperlate - 2004 Remix
(16) Calling All Stations
【ディスク2】
(01) Abacab - 2004 Remix
(02) Keep It Dark - 2004 Remix
(03) Turn It On Again - 2004 Remix
(04) Behind The Lines
(05) Duchess - 2004 Remix
(06) Misunderstanding - 2004 Remix
(07) Many Too Many - 2004 Remix
(08) Follow You Follow Me - 2004 Remix
(09) Undertow - 2004 Remix
(10) In That Quiet Earth - 2004 Remix
(11) Afterglow - 2004 Remix
(12) Your Own Special Way
(13) A Trick Of The Tail - 2004 Remix
(14) Ripples - 2004 Remix
(15) Los Endos - 2004 Remix
【ディスク3】
(01) The Lamb Lies Down On Broadway - 2004 Remix
(02) Counting Out Time - 2004 Remix
(03) Carpet Crawlers
(04) Firth Of Fifth - 2004 Remix
(05) The Cinema Show - 2004 Remix
(06) I Know What I Like (In Your Wardrobe) - 2004 Remix
(07) Supper's Ready
(08) The Musical Box - 2004 Remix
(09) The Knife - 2004 Remix