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XTC 『 Apple Venus Vol.1』

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XTC

私がXTCを初めて知ったのは、ご多分に漏れず80年代、TBSで深夜に放送していた「ポッパーズ・MTV」がキッカケだった。MCのピーター・バラカン氏といえば、私にとって音楽の師匠だと勝手に思っているが、この番組でU2を知り、ライ・クーダーを知り、何故かスミスまで知る事になったわけだが、このXTCの存在なぞ、この番組が無ければ絶対に存在に触れる事すらなかったであろうと思われる。

『Skylarking』と『Oranges & Lemons』という、今にして思えばXTCというよりもイギリスのポップス界史にその名を残す歴史的名盤として誉れ高いこの2作が最初の遭遇であったのは、私の音楽史にとっても素晴らしい事だったなと、つくづく思う。

XTCといえば、アンディ・パートリッジとコリン・ムールディングが織り成す極上のメロディーとひねくりすぎてどこが正面だか分からなくなってしまったような、抽象的表現が積み重なるその歌詞が紡ぎだす独特な世界観が印象的である。特にサウンド面にその魅力は収斂されるのだが、何よりも極上なメロディ、しかし安きに流れない私が言う所の“寸止めの美学”を守り続ける、正にポップスの職人芸を魅せてくれる。

そんな彼らだから、当然ながらメジャーないわゆる“売れ筋”からは離れてしまう悲劇を抱えながら歩き続ける。古巣ヴァージン・レーベルとのイザコザ、デイヴ・グレゴリーの脱退、そしてデビュー当時のBBC音源リリース等を経て、80年代イギリスを席巻したシンセポップスへのXTCの回答である前作『Nonsuch』から約7年ぶりとなったのが、この作品『Apple Venus Vol.1』である。

サウンドの特徴は正に“ストリングス&ハーモニー”バロック音楽をモチーフにした感触を残しつつ、相変わらずの極上のポップスを聞かせてくれる。7年間のブランクからか、全編に今までに無かったような陰影を残しているが、それが逆に私には嵌ったりもして。とにかくXTCに触れるならば、まずはこのアルバムから私は推奨したい。

  by mf0812 | 2004-07-03 01:41 | 音楽

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