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徴税権力

徴税権力―国税庁の研究
落合 博実 / / 文藝春秋
ISBN : 4163687408
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このゴールデンウィーク、CSの日本映画専門チャンネルでは伊丹十三監督映画作品を特集していた。私にとって伊丹監督といえば「お葬式」そして何と言っても「マルサの女」だろう。第1作では山崎努の絶品な小悪党振りが存分に楽しめ、第2作では三国連太郎のワンマンショーを堪能できる最近の日本映画にしては稀有な娯楽映画のシリーズとなった。伊丹十三のその才の輝きを如何なく鑑賞出来る見事な連作である。伊丹十三といえば緻密な取材に基づくその精緻な脚本作りに定評があるが「マルサの女」製作時には徹底的に国税を調べ上げたという。ただ実際にマルサと呼ばれる部署はあるにはあるのだが、映画のように次から次へと事件を担当し解決していくという部署ではないという。その辺は伊丹流のアレンジだろう。

さて国税といえば最近出た本で白眉の作品がある。元朝日新聞記者である落合博実氏が出した「徴税権力」という本がそれだ。上にあげたマルサの真実も描きつつ、今までマスコミ的に明らかにされる事のなかった国税庁の内実を長期にわたり取材していた筆者が、その全てを詳らかにしたのが本書である。兎に角読んでいて「ここまで書くか!」と叫ばずにはいられない程、詳細な内容が描かれている。国税に陰に陽に圧力を掛ける政治家や国税と検察の闘い、そして創価学会と国税の綱引き、そして財務官僚や国税批判をしたものへ圧力を掛けるように税務調査に入る狡猾さの描写など、正にタブーなき衝撃の事実が連続して書かれていく。最近読んだ中でここまで面白かったルポルタージュはそうはない、とにかく凄い本だ。

金丸信の脱税事件摘発から芸能人や有名人らの脱税を見つけ出す方法、そして国税が権力化し、己の力を誇示するカのように「国策捜査」をしていく横暴さ、さらには政治権力や宗教団体への弱腰の姿勢など、検察、政権与党に次ぐ権力組織である国税の実態を白日の元に曝け出している。とりわけこの本で面白いというか凄いなと思うのが調査部と呼ばれている部署の仕事振りだ。この間林家正蔵が脱税で摘発を食らったが、もしかしたらこの国税の調査部が暗躍したのかもしれない。彼らはテレビのバラエティー番組などである豪邸訪問やお宝発見などの番組は、必ずチェックしていて、それを個人別にファイリングしてデータとして保存しているという。また圧力を掛けてきた政治家などの名もファイリングしているそうだ。この本の中ではそう言うことに縁遠そうだった小泉純一郎の名も出てきて驚かされるが、とにかく最初から最後まで驚きの連続で飽きさせる事なく読ませてくれる第1級の作品だ。
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  by mf0812 | 2007-05-10 14:58 | 書籍

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