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『失われた5年間』から生まれる一つの答え ~トリノ雑感~

私の友人が勤める会社に夏のオリンピックに出場した陸上選手がいた。彼の会社は大手一流企業なので、その選手は出場が決まりそうになってから会社が宣伝を兼ね強化費をかなり増額してくれたので練習や移動などの費用が楽になりその結果か?無事に選出され、大会でもメダルには届かないが好成績を収める事が出来た。彼は会社の中でも総務の仕事をしていたので事情を良く知っていて裏話を教えてもらったが、それを聞いて思ったのは「オリンピックに出るのは大変だな」という事だ。とにかくお金が掛かる、それも桁違いに。日本は国から援助金が出るわけでもないしそれらを自力で集めなければならない。つまり五輪での勝負は試合の前に付いている場合が多いという事だ。

今回の五輪は日本選手団にまだメダルは無いが彼の話や現状を見るに大健闘しているなと思う。何せ前回のソルトレイクから今回のトリノを迎えるまでの4年間の日本社会は小泉政権下においてリストラの嵐が吹き荒れ過去最大件数の企業倒産を数え高額所得者の10%と低所得者の10%の所得格差が100倍を超えるという国際社会復帰後の日本経済において史上最大の所得格差が生まれた『失われた5年間』の中の4年であった。企業からの浄財と個人のカンパがその強化費の殆ど全てを賄っている日本アマスポーツ界にとってこの4年間は暗黒の日々だった筈だ。

いつもの様にテレビのバイアスに乗って、いろいろと選手の言動に批判する向きもいるが、そんな事は瑣末な話。例えばスノーボードのハーフパイプにしても、数年前までは全く競技土壌ゼロの段階からよくぞここまで選手を作り上げたなぁという感慨がより深くなるのみだ。企業サポートも未熟な段階でここまで選手を送り込めただけでも大したものなのだ。事の本質を問うならば企業文化とは何か、スポーツ文化とは何か、という点にこそ言及しなければ今後への発展は無いだろう。

過日、徹夜明けにTBSのニュース番組を見ていたら、みのもんたが原田が200g足りず失格になった事に激怒し罵倒していたが、そこまで言うならお金持ちのあなたが選手らへ少しでも金銭的なサポートをしてくれたらなと皮肉の一つも言いたくなる。そんな200gの体重の上げ下げの世界に生きる厳しさを改めて実感したものの、攻める気にはなれない。人間はミスをする。しかし起きたミスをどう生かすのかが一番大事、今回の失敗が次への糧になればいいのだ。見ている当方は眠い目を擦り擦り限界に挑む選手らに感謝しながら、毎晩十分にスポーツの楽しさ、厳しさを味あわせてもらっている次第だ。

  by mf0812 | 2006-02-20 03:25 | スポーツ

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