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宴のあと

今の日本はデフレ状態だそうだが、来年になるとそうした状況が変換するといわれている。つまりインフレ基調に転じるという事だ。今年末から来年3月にかけて、今のデフレ経済が収束してインフレに転じると大方の経済レポートはこうした見方で一致している。

さてインフレになれば、何が起きるか。まず金利が上がる。すると当然国債が下がるのは常識だ。その際の国債の値下がり率は「金利上昇ポイント×債権の残存年数」で求められる。で、仮に金利が3ポイント上がり10年もの国債の平均残存年数を5年とすると3×5=15。つまり、国債の価格は15%も値下がりする事となる。

日本国の国債の最大の引き受け手はどこか。郵貯と簡保だ。この2つで保有している国債が約200兆円。するとその15%にあたる30兆円が目減りする。もし郵政公社を民営化せずそのままでいた場合、郵貯、簡保の国債の購入は、政府=財務省の保証がついているのでこの目減り分は国庫から損失を補填しなくてはならない。だがこれが民営化してしまえばその必要は無くなる。何故ならそれはあくまで民間会社の経営問題だからだ。国=財務省が郵政民営化をあんなに急いだ理由は、国債の損失補てん分を堂々と放棄出来て、しかも責任を回避し、更に株式上場により約10兆円の売却資金が国庫に入るからである。民営化後の郵政公社がどうなろうと知ったことではない、という素晴らしいこの能天気さにただ呆れるばかりである。

さてそうした猿芝居が終った後、この巨額の郵貯簡保マネーはどこに行くのか。簡単だ、今度はアメリカの国債に向う。何故か。前にもこの日記で触れたように人民元の変動相場制移行により巨額な中国マネーが為替リスクを考慮し米国債から手を引いている最中なので、今後米国債の買い取り手がいなくなるからだ。アメリカのいう事なら何でも聞く総理大臣のいる国、日本しかこの高リスクの国債などを喜んで引き受けてくれる所は無い。そしてリスクの増え郵貯と簡保が買えなくなった日本国債は、国内の銀行や政府系金融機関が肩代わりする。

このシナリオは決して否定要因を強調したものでなく、考えられるシナリオの中でも1番オーソドックスなものである。小泉政権の新人議員に財務省出身官僚が多いのは偶然ではない。郵貯の国債問題を不良債権と同義に考えるなら借り手責任は問われるのに、肝心の貸し手=財務省の責任が放置されるのも当たり前なのだ。私が郵政“私有化”にのれない理由はここにある。まぁ法案は通っちゃったので今更だが、今一度確認しておきたかったので書いてみた。

  by mf0812 | 2005-10-29 03:35 | ニュース・評論

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