日々雑感 エイトマン、リターンズ 原監督就任へ

阪神シニアディレクター星野仙一に巨人関係者が接触を始めたのは交流戦終盤だったという。落ち込む視聴率に売れ行きが鈍化する新聞の販売部数、ジャイアンツの金看板が剥げる事は、世界一の販売部数という肩書きしかとりえのない新聞社には致命傷なのである。改革という名の自己保身の作業が始まるのはあっという間だった。星野という劇薬を投下する事で阪神が得た効果を期待するという二番煎じの作戦は水面下で着実に進められた。ドラフトの裏金工作による引責をした筈の渡辺が舌の根も乾かぬうちに復帰したのが6月、この時期に星野との交渉が始まったとみていいだろう。

そうした要請に星野はヤル気だったと聞く。それは最後に宿敵だったジャイアンツに請われる形でそのユニホームを着て指揮官になりチームを立て直せばポスト長嶋茂雄的な存在になれる事は間違いない。8月に入りほぼ状況は決まりかけ、星野監督誕生でいけると関係者筋は確信していたという。トコロがだ、ここで致命的なミスを読売が犯す。8月清原の去就問題が大きく紙面を賑わしている頃、次期監督を模索始めた各マスコミが飛びつく格好のネタを首脳自らがが提供してしまう。

球団会長渡辺恒雄がホテルでの会食後、ほろ酔い気分で囲まれた記者に不用意な発言をする。『星野君は立派な監督だよ』という例のアレだ。この段階では飛ばし記事扱いだった星野巨人監督説はこの発言により事実上球団首脳が認めた事と同じとなり報道は一気に「星野監督」へとシフトししていく。

おりしも阪神は優勝争いの最中だった。当然そんな空気に水を差すようなこの騒動に阪神ファンは反発し星野は反感を買う。巨人のOBや関係者も突然降って湧いた外様の監督起用に難色を示し、反発が起きる。騒動は加速し事態は混迷する。結局、そうした空気に星野は危険を察知し、阪神SDとして残留を公の場で表明する事になった。そして今日、巨人は原辰徳を次期監督に指名する。実は原には滝鼻オーナーからのルートで交流戦中盤に監督依頼の話が来ていた。星野の話が誰主導だったかが良く分かるエピソードであるが。

さて今回の騒動の問題とはなにか。単純である。それは如何に今の巨人にとって読売新聞首脳というのが役立たずかという事を確認した、だけの話である。つまりだ、事の本質は、監督人事という一番大事な専権事項を酒の勢いに乗せ、ポロリとマスコミに喋ってダメにしてしまうというこの危機管理能力の皆無さ、そして昨年引責した筈の人間が何の躊躇いもなく再び戻ってくるというこのモラル感の無さに尽きるのである。
読売は、分かっていないのだ、渡辺恒雄が全面に出てくる度にファンが離れていっているのを。いや、本当は分かっている。実は…昨年末、巨人は広告代理店を使い自チームのブランドイメージ調査を行った。その席上、1番ファンから反発が多かったのは渡辺恒雄の存在であったという事が報告されたという。しかしその事が球団上層部にまで届いたか否かは、今回の次期監督探し騒動を見れば一目瞭然だ。

そもそも就任1年目に若手を大胆に使い、1軍と2軍の垣根を取り払い戦力を活かし切ってセリーグを制覇し、日本シリーズでは宿敵西武相手に4戦4勝のスイープで日本一になった原を2年目に切る破目になったのは、渡辺の懐刀とされる三山なる読売新聞本社の人間が来年度のコーチ編成に留まらず試合前の監督室にまで乗り込み監督の専権事項である選手起用にまで口を出し命令するという前代未聞の傍若無人さを露呈した事が原因である。そんな無能な人物を起用した任命権者の責任は不問とされ、責任のみがトップダウンしてくるというこの不条理さ。まるでカフカの世界である。

結局、絶対権力を身に纏い側めには腰巾着しかいない今の渡辺読売体制の歪が全て出たのがこの騒動の本質なのである。その側め達の腰巾着ぶりは読売新聞の社説を10日も読めば良く分かる。こうした本質が変わらぬ限り、巨人の再建は不可能である。渡辺恒雄が死なない限り、読売、そして巨人の体質は変わらない。そんな厳しい状況の中、原は監督を引き受けた。これ以上無いお人好し振りである。実際、彼に断られていたら巨人は完全に迷走状態に突入したのは間違いなかったはずだ。

今日、地上波放送は打ち切られCSとBSデジタルでのみ放送された巨人の最終戦、原は江川と共に試合の解説をしていたが、江川がシミジミと「こんな大変な状況で監督を引き受けたのは凄いこと」と言っていた。グランド上では今日限りで引退する選手が胴上げされる中、今日退任が決まった堀内監督は観客への挨拶も無く、胴上げされることも無く、いつの間にかグランドから姿を消していた。セレモニーが終ったあと、ライトスタンドからは清原と原が現役時代のテーマソングの両方が流れていた。巨人ファンを離れ殆どアンチジャイアンツだったこの2年間。私とジャイアンツの“最後の付き合い”が今日から再び始まった。
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  by mf0812 | 2005-10-06 03:58 | スポーツ

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