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日々雑感 行き先はどちらなのか?

以前当欄で、私が過去にいろいろな商売をしていた(現在進行形のものもあり)と書いたが、そもそも商売の道に入ったキッカケは今のビデオ屋の前の代の時に(現在は自分で経営)バイトで雇われたのがスタートだ。同時並行でゲームセンターなんかにもバイトで働いていたのだが、どうしてバイトを掛け持ちしていたかと言えば当時自主映画なんかを作っていてお金が必要であったからである。

今と違い撮影道具揃えるのにも結構なお金が必要で、当時稼いだバイトのお金の大部分は、映画の製作資金とそして競馬と競輪に注がれていた(この頃からギャンブル馬鹿でした)バイト先ではそれぞれで店長代理みたいな事を任されていて、当時大学生だった私は年収で400万近くもあった。下手すりゃ今より良かったかもしれないなぁ。しかも学生時代はラジオ局でデスク見習いみたいなバイトもしていたので、最高潮の時は月に60万以上の収入があったりしていた。

丁度バブルも弾けた最中、社会人になってもそんなには稼げないだろうと言う判断もあり、フリーランスでいろいろな仕事をし尽くした挙げ句に最終的に現在へと至るわけだが、やっぱり8年前に完全に独立して今の店を持った時は勝負ドコロだったなと思う。何故ここが勝負処だったのか。開店時に1000万近い現金を掻き集めた人生最大のギャンブルになったからだ。例え年収が一杯あろうとなかろうと(最盛期には1000万近かったか)世の中の仕組みというものは、何の保証もない人間には極めて不都合に出来ているからである。金が全てを解決するには年収10000万程度では無理で、それこそ5000万、1億とかいう桁にならないと始まらないのである。それ以外に保証されるのは土地を持っているか、ちゃんとした社会的保証のある人が連帯責任を取ってくれるか、この2つしかない。

ある時、年収で500万以上あった年になるか、ある買い物をするので銀行系ローン会社に分割払い申請をした。金額にして6万円弱。当時は今のように大口の借金もなかった。しかしながらローン会社の審査結果は、速攻でNGであった。今と違い銀行もサラ金やるような時代ではなかった事もあり担保にないフリーの人間には、その審査が厳しかったのだ。サラリーマンの人が羨ましいと思うのはこうした社会的保証がある点である。自宅が持ち家でもない限り低金利で100万円以上の借金など出来ようもない。3年間完全黒字経営の帳簿を持参しても門前払いである(今はどうなのかは知りませんが)それ位金融機関の担保無き者への審査は厳しかった。

8年前に訪れた独立のチャンス時、折角高収入時代があったのに小劇団設立そして失敗等もあり結局手持ちには400万円弱の現金しかなかった。しかしどうしてもそのチャンスを生かすには800万の資金が必要だった。残り400万円をどうするか。街金もしくは商工ローンに頼むと言う最後の手段に出る前に(まぁ最終的に数年後に違う形で外資系銀行のローンにお世話にはなりましたが)どうにかして資金を工面する必要に迫られたのだが、そこで大変お世話になったのが郵便局である。

読者の皆さん、今話題になっているが郵便局の簡易保険というものを御存知でしょうか?この簡易保険は、どんな職業あろうとも、どんな病気を持っていようとも(現在症状が出ていても)そして借金が沢山あろうとも、原則誰でも入れるのが大きな特徴であり、尚且つこの簡易保険を担保にすると郵便局からお金を借りる事も出来るのである(対象外の簡保もあるが)私は20代始めに少しやっかいな病気を患い、当時なかなか既存の保険に入ることが出来なかったが、簡易保険と県民共済だけには加入していた。そこで母に土下座して母の分の簡易保険と私の簡易保険を担保にして計350万円を郵便局から年利3%とかいう信じられない低金利で融資してもらった(残り50万円は競馬で大穴を当てて充当した。現状のギャンブル収支を思えば信じられない話であるが)このお金がなければ絶対に独立は出来なかった。

私は決して自営業者として成功している人間ではないが、脱サラして商売しようと言う人がいるなら、アドバイスとしてまず何をするにしても最初にやる事は、在職中に運転資金なり開業資金は用意、工面すべきだ、という事を申し添えたい。まぁ1番いいのは私みたいに寄り道しないでコツコツと貯めておくのが一番ですが。

最近巷で話題の郵政事業であるが、郵便貯金と簡易保険には私の様に社会的な保証がもてない人間にとっては、極めて重要なセーフティーネットとしての役割があり、ある意味において社会保障としての側面があるのを指摘しておきたい。兼ねてから郵政を民営化しても如何なるメリットが産まれるのか不勉強な私には全く分からないのだが(郵便事業に民間が参入できる事へのメリットは分かるが)少なくても簡易保険が全廃される、もしくは民間に移行したならば、今の様な有り難い使い道はなくなるんだろうなというのだけは良く分かる。市場原理に任せればこうした条件無しに誰でも入れる保険と言うものはなくなる事くらい誰が考えても分かる。つまり社会的な保障を国が徐々に放棄して政府の仕事を極限まで減らしていくというその方針が今回の郵政民営化の是非で問われる事になる訳だ。

個人的には政治改革が選挙制度改革に話が摩り替わり、いびつな小選挙区制度を成立させてしまった過去の歴史と今回の騒ぎは正に軌を一にしている感じがしてならない。動機は分からぬが結果的に経世会の土建屋国家的な政治経済システムを破壊したと言う点で小泉純一郎首相は素晴らしい仕事をしたといえるが、外交面含めてここから先の日本の国の行く末を彼に任せる気にはなれない。メディアや知識人と呼ばれる人が輪になってがこぞって小泉首相を持ち上げている今の傾向に私はどうにも相容れない。言いたかないが得てして地獄への道は善意によって舗装されるものである。こうした国民全部で浮かれ始めている状況がどうにも分からない。確かにじゃあ他の選択肢はあるのかと問われればその選択は難しいが、同じマイナスを選ぶにせよマイナス100を選ぶならマイナス50を選ぶべきなのは自明の理で、今の小泉政権を選択するのはマイナス100でしかないというが私の考えである。部分肯定と部分否定をしながら事の判断には当たりたい。

  by mf0812 | 2005-08-24 17:11 | ニュース・評論

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