プロレスの行方 第3回 破壊王が残したもの

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兼ねてから噂があった話だが、25日付けを持って創立者である橋本真也がゼロワンから離脱する事となった。そう、あくまでも橋本が離脱するのであって、実質上ゼロワンの構成に変化は無い。この話のポイントはここだろう。つまり半分クーデターに近い形で橋本はその座を辞する事になったとも言えるのである。しかしだ、橋本の『個人商店』であった筈のゼロワンがこういう結末を迎えるとは何とも言えない重い気持ちにならざるを得ない。

こうなった理由には、巷間いろいろと言われているが、結局、番頭であった中村祥之氏と橋本との間に各種の問題が横たわり、その結果、互いの意思疎通が出来なくなるような事態にまで状況が悪化したからと思われる。元々ゼロワンは売り興行と手打ち興行のバランスが他のノアや新日というメジャー団体に比べても異常に偏向していたとの話も漏れ聞くし、その辺に見え隠れする橋本のプライドが事態を悪化させてしまったのかもしれない。

元々大谷高岩が新日ジュニア時代に作り上げたハイスパートそしてハードヒットプロレスと橋本が持っていた良い意味での猥雑感と刹那感と高揚感という極限さ、そしてノアや新日の一部がリング上でクロスオーバーするという場の面白さが受けたゼロワンだったが、真撃というプロレス格闘技の合体興行をキッカケとして猪木の横槍などの諸問題が勃発し、火祭りと言うゼロワン初のシングルリーグ戦が開催不能寸前にまで立ち行かなくなってからというもの、何かとトラブルが襲ったのも事実である。そうしたトラブルを肥やしにして生きてきたゼロワンも、結局は刺激追及の極限化と言う新興団体が陥りやすい罠に嵌り、次第に勢いも減退。特に橋本自身の怪我が悪化してからというもの、リング内でなかなか熱を産み辛くさせていったのも、痛かった。

取りあえず、一部観客に受け入れられた外国人選手の招聘及び発掘路線も余りにそこに執着しすぎたために、却って団体としては座標軸を見失った感は否めず、そしてこの路線は言うまでもなく経費がかさむという点も大きかった。全日との対抗戦路線もそうした座標軸の喪失により旗揚げ時のノアとの絡みの様な熱気を生み出せずにフェイドアウトしていった。

そして禁断の果実である『ハッスル』を食してしまい、そこから一気に全てが悪循環を始める。当ブログでも何度か触れているので詳細は省くが、結局このハッスルに始まり、ドサクサ紛れ的に長年に及ぶ対立概念者であった長州力との邂逅も何となく起きてしまい、座標軸ドコロか団体としての柱すら揺らぎ始めた昨年の秋冬。結局、総合格闘技主催会社DSEによるプロレスイベンント「ハッスル」も観客動員的に好転せず春過ぎ位から後楽園ホールにてその興行を行い始めてから、結果的にゼロワンとしては最後の砦を喪失した格好になった模様である。今にして思えばハッスルハウスの後楽園ホール開催がポイント・オブ・ノーリターンだった様な気がしてならない。

今後橋本は手術をして、無事回復できれば、新日のリングに再登場するだろう。第三、第四世代の壁として役目は十分にある筈だが、それにはある程度故障が癒えなければならないであろうが…。残されたもの、というより、残ったもの達は、これからこの4年間で結局築けなかった団体としての座標軸を構築していかなければならない。

冷静に現状を見れば、明らかにこの事態の前よりも全ての面で状況は好転している訳で変なお涙頂戴的な中途半端な路線を敷くよりも、多団体との刺激的な交流を行いつつ高岩、大谷そして日高や藤田ミノル等のハードコアやハードヒットに対応できる選手がいるのだからそうした闘いを軸として、リングを再構築出来る筈である。

ただ新日系の興行団体の悪い癖をして「山っ気」が多い事がある。武藤全日も一昨年頃にはその辺でつまずいていたが、最近は身の丈にあった経営スタイルに変容しつつあり、ここ2回の両国大会を成功させて団体としても一息ついたところであろう(まぁ三沢のお陰とも言えなくも無いが)

ゼロワンにも中村祥之という優秀なフロントがいるが、彼も山っ気が多い事と少し自分が全面に出すぎる嫌いがある。そして間違えてはならないタイミングでの状況判断を少ない情報で見誤ってしまう点が見受けられる。折角リセット状態となった訳なのだから、ここは中村氏が尊敬していると言うノアのやり方を倣うのも手である。新聞や雑誌一面に乗る為の話題作りより、目前の興行の熱を維持し上昇させるかに重きを置く事。

新日系フロントマンには、こうした地味な手法を選ぶというのは、なかなか難しい選択かもしれないが、今の全日(と、言うよりレッグロックの渡辺氏)もそこに気付いて上手く軌道修正が出来たのだから、新生ゼロワンにも出来ない筈は無い。取りあえずロウキーの参戦や最近の金丸の発言等を見ても、ノアとのラインは健在なようだし、全日とも繋がっている筈。手持ちの駒を良く見て、マズ最初の一歩を間違わずに踏み出してもらいたいと切に願う。勝負はこれからだ。
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  by mf0812 | 2004-11-27 04:37 | プロレス格闘技

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